自分が産休代替教員として初めて小学校で働いた時の体験談を紹介します。
教員になろうとしている方、臨時採用に向けて心の準備をしたい方、田舎の教員生活に興味のある方へ向けて書きました。
教員採用試験が終わってから臨時採用教員になるまで
自分が初めて臨時採用教員として採用されたきっかけは教育委員会からの電話でした。
人生初の教員採用試験
自分は大学卒業後に教員採用試験を受ける決意をしました。
他の仲間は在学中に決断して既に受験しているので1年遅れのスタートです。
4月から7月まで親のスネをかじりながら試験対策をして、7月の一次試験、9月の二次試験に臨みました。
結果は残念でしたが、一次試験を突破できたことと、教員採用試験の雰囲気を掴めたことが収穫だったと思います。
田舎の教育委員会から臨時採用教員依頼の電話
試験が終わった開放感に任せあちこちを旅して回っていた自分の元に、一本の電話が入りました。
北海道の北の果てのコンビニにバイクを止め、その知らない番号の電話に出てみました。
電話の相手は知らない名前の村の教育委員会の方。
電話の内容は「○○村(人口2000人未満)で産休代替をやってくれないか」というものでした。
採用試験の願書に臨時採用希望の欄があり、そこにマルをつけていたからこうして電話が来たようです。
当時の自分は後先考えずに行動する力がまだあったので、その電話を一度も切ることなく即答でOKしました。
今考えると、こういう行動力というのは人生をプラスの方向に彩りますね。とても大事です。
赴任地は小さな漁村
捨てずに持っていた学生時代の家財道具の中から最低限のものだけをクロネコヤマトの単身パックに詰め込み、自家用車でさっそく採用先の村へ向かいました。
地図を片手に2時間走ってたどり着いた場所は、人口減少に悩む小さな漁村でした。
夕方になると海が綺麗なオレンジ色になる美しい土地でした。
田舎の教員住宅と通勤
案内された教員住宅は築何年!?
田舎の学校の隣には大体教員住宅が建っています。
状態はまちまちですが、決まって年代物の物件です。
村の教育委員会を訪ねた自分はすぐに1LDK平屋戸建ての教員住宅へ案内され、そこで初の社会人生活をエンジョイすることになりました。
家賃が4800円
築30年オーバーの木造建築
トイレは簡易水洗
カメムシ、ワラジムシ、ネズミとの共同生活
こんな条件での生活です。
今考えてもエンジョイ要素をビシビシ感じるかなり尖った条件です。
夜にリビングでくつろいでいると、ペットか何かみたいなノリで生き物が出現していました。
カメムシはガムテで退治。ワラジムシは掃除機で吸う。
たまに出てくるレアキャラ「ネズミ」はデスモアPROとかいう毒餌で退治した記憶があります。
人生最高の通勤
この住宅は海岸沿いの高台に建っていました。
毎朝起きて出勤しようとドアを開けると、そこには目下に広がる美しい海と体を心地よく撫でる潮風がありました。
最高の通勤でした。
小学校の臨時採用教員の仕事を初体験!
若い臨時教員に対して先輩方は優しかった
完全な初心者でしかも年度途中からの雇用。
こんな立場でしたので、職員室にいた数人(小さい学校なので)の先輩先生達は、悲しいぐらいに仕事ができない自分にとても優しく接してくれました。
それはもう不思議なくらいに優しく。
その理由は今ならわかります。
新人教員はマニュアル不在の状態で手探りで仕事をします。
そんな状態ですから当然みんな最初は仕事ができません。情けなさや後ろめたさや疲労を抱えながら慣れていくんです。
みんなその痛みを知っているからこそ新しく来る仲間に優しいんですね。
少しでも早く成長して子どもにとって価値のある先生になりたいと思いました。
初心者教員だった自分を受け入れてくれた子ども達
今思えば酷い学級経営をしましたが、それでも子ども達も保護者の方々もそんな自分を受け入れてくれました。
若い先生というのはそういう存在なのでしょう。
子ども達に対して教師としての威厳はなく、ほとんど友達のような存在になってしまっていましたが、先輩先生方は「それでいいんだよ。たくさん遊んであげなさい」と言ってくれていました。
臨時採用教員、給料の手取りが高い!
給料はたしか手取りで20万円に満たないぐらいだったと思います。
家賃が破格に安く独身一人暮らしだったので、経済的にはとても恵まれました。
非正規雇用でこれは凄いですね。
臨時採用教員の次の勤務先の決まり方
校長が次の職場を紹介してくれた
育児休業をとっていた先生が4月から復帰されるとのことで、自分の初勤務は3月で終わることになりました。臨時採用の宿命です。
ですが、当時の校長先生が、4月からの隣町の小学校の産休代替を紹介してくれました。
校長会で臨時採用を探しているという話が出た時に、自分の名を出してくれたようです。
離任式で子ども達に挨拶をし、教員住宅の荷物をまとめ、教育委員会に住宅の鍵を返し、かつて初めて村に来た時と同じ道を通って次の赴任地へと向かいました。
【余談】臨時採用教員の組合バトルへのかかわり方
少し話が逸れますが、正採用の先生方は、状況に応じて校長先生と対立することがあります。
これは職場のパワーバランスを守るためで、一見バカらしく見えますが必要な文化です。
ですが、臨時採用の人間は校長先生とは良好な関係を保った方がいいでしょう。
理由は先にあった通り。臨時採用の人事は校長先生が主となって繋いでくれるケースが多いからです。
小学校の臨時採用教員として初めて働いて得たもの
臨時採用として初めて小学校で勤務した中で自分が得たものは
- お金
- 経験
- 人脈
この3つですね。
お金
問答無用で貯まります。収入が多く支出が少ないので。
お金は人生に時間と行動力を生み出します。
持っておいて損はありません。
経験
教員の経験は一生モノの財産です。
最初は辛いですが、それを乗り越えれば経験を活かして日本中どこででも臨時採用でメシが食えますよ。
住所選択の自由。そのパスポートとなるのが教員免許と教員の経験です。
人脈
人脈について。臨時採用教員は評判や人柄が次の職場を見つけてくれます。
あくまで成果ではなく評判人柄です。
教員が成果主義に走っても子どもが消耗するだけです。
臨時採用教員、一度は経験してみると良いですよ
深く考えずに飛び込んだ最初の職場でしたが、この半年の経験は良い思い出でもあり今でも自分を助けてくれる財産にもなりました。
ここまで読んでいただいた方の中にもし臨時採用を受けようか悩んでいる方がいるなら、自分は受けることをお勧めします。
もちろんこれは仕事視点からのアドバイスに過ぎないので、実際は御自身のプライベートや人生設計等々とも照らし合わせながら決めて下さいね。
この半年の短い体験は、まるで一つの旅のようでした。
こういう体験を思い出すと、臨時採用という身分も悪くなかったなと思います。