胆嚢炎の闘病体験記第3弾です。
入院初日に胆嚢ドレナージで横腹にチューブを刺された後、自分はそのまま2週間入院しました。
このページの話題は「チューブ刺さった状態での入院生活」。痛みを感じた場面や不便だったことなど思い出しながら書きました。
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体験談第2話 ドレナージ処置が激痛だった話
胆嚢炎治療で入院する目的
胆嚢炎の入院は内科的治療と手術入院の2タイプがあります。
このページで体験記として書いたのは内科的治療の方。目的は胆嚢ドレナージを成功させることです。
胆嚢の中は胆石が出口を塞いでいる状態
胆嚢炎ではほとんどの場合、胆嚢内に胆石が作られてしまっています。
胆嚢の役割は肝臓で作られた胆汁を一時的に溜め込み、必要な時に吐き出すこと。その際、中に胆石ができていると、それが胆汁と一緒に吐き出されます。その時胆石が胆嚢の出口にはまってしまうと激痛が発生しちゃうんです。
さらには、胆石が詰まったことにより、胆嚢内に溜められている胆汁は行き場所を失い長時間胆嚢に閉じ込められてしまうことになります。
汚れた胆汁をドレナージ処置で排出する
経皮経肝胆嚢ドレナージは、横腹からチューブを刺し胆嚢の中まで貫く処置です。
これにより、胆嚢の中に閉じ込められた古く汚れた胆汁を体の外に出すことができます。
胆汁が排出されれば胆嚢の腫れが治まる
急性胆嚢炎を発症した場合、胆嚢は大きく腫れあがります。
この腫れがクセ者で、他の臓器と癒着したり胆嚢が破裂するリスクが高まったりと、いいことがありません。
そこで、「胆汁を排出する」「抗生物質を点滴する」といった内科的治療で腫れを改善しようというわけです。
全ては胆嚢摘出を腹腔鏡手術で行うため
胆嚢炎の治療は手術で胆嚢を摘出するのが基本です。ですが、胆嚢が腫れたままでは手術が難しくなってしまいます。
「そんなこといいからさっさと手術してよ!医者なら難しい手術も余裕でしょ!」
と思いたくもなりますが、実はこの手術の難度が最終的に治療期間に大きく関わるんです。
胆嚢炎の手術には2種類の方法があります。一つは開腹手術、もう一つは腹腔鏡手術です。
難易度が高いのは腹腔鏡手術。ですが腹腔鏡手術の方が術後の治りが早く社会復帰を早めることができるんです。
最後に腹腔鏡手術を選べるようにするために、まずは胆嚢の症状を落ちつけようというわけです。
胆嚢ドレナージ中は絶対安静
- 胆嚢から胆汁を出しきること
- 抗生物質の点滴を受けること
- 胆嚢の発作を起こさないこと
胆嚢の腫れをなくすためにこれらのミッションを遂行する。
そのためにベッドに転がって永遠の時を過ごす。
これが胆嚢炎患者に課せられた入院治療の使命です。
胆嚢炎の入院生活はドレナージチューブ抜けとの戦い
胆嚢炎治療に必要な絶対安静生活。実際にやってみると結構大変でした。
特に辛かったことを書きますね。まずはチューブが生活に与える影響について。
身動きが取れない
右脇腹から出ているチューブを2メートルほど辿ると、そこにはプラスチックの瓶がつながっています。
自分の体よりも下にその瓶がある状態を保つことで、排液が瓶に向かって流れていくのだそうです。
お腹にチューブが刺さっている部分はガーゼで覆われていてよく見えません。
医者からは「チューブが体内でずれないようにあまり動かないでください」と言われていることもあり、まるで身動きがとれません。
胆嚢やチューブが痛むんじゃないかと不安
身動きが取れない理由がもう一つ。
下手に動いたらチューブの辺りが痛むんじゃないかと不安なんです。
いくらビニールのチューブと言っても、体内に異物が刺しこまれているんです。「もしかしたらそれが動くかも!」「痛いところに干渉しちゃうかも!?」という状況は恐怖以外の何者でもありません。
実際、体を動かすとチューブが刺さっている肌の辺りと体内からそれぞれ痛みを感じます。
体を右に向ける寝返りは絶対にできませんし、左に向けるのもためらいます。
初日にチューブを刺した処置中の激痛の思い出もその恐怖を後押しします。
というわけで、最初のうちは恐怖で寝返りすらできず、ひたすら背中が痛くなりました。
胆嚢ドレナージの入院は24時間点滴
体には右横腹のチューブのほかに、左手には点滴が24時間刺さっています。
これがまたクセ者でした。
点滴で身動きがとれない
自分の場合、両腕の血管が縮こまっていたので、仕方なく手の甲の血管から点滴のルートをとりました。
これによって、左手に体重をかけて体勢を変えるということが難しくなってしまいました。
変に手を動かして点滴がズレても困りますし、点滴のルートが血管の中で動いて痛いのかもという恐怖もあります。
とにかく身動きがとれません。
24時間点滴は時々痛い
手を変に曲げたり動かしたりすることで点滴が刺さっている場所が痛むことがありました。
他にも、点滴の薬剤そのものが血管を消耗させ、それによって発生する痛みもありました。
看護師さんの話によると、時々受ける抗生物質ではなく、24時間受けている栄養の点滴の方が血管に痛みを感じさせるのだそうです。
腹が減ってるのか減ってないのか微妙な感覚
栄養の点滴を受け続けているので、とりあえず栄養不足で死ぬことはありません。
ですが、何も食べない期間が長くなると、さすがに違和感がでてきます。
「腹減ったなぁ、でも腹減らないなぁ」
というひどい矛盾が脳内で発生し、よくわからない感覚に陥ります。
胆嚢炎治療で入院した時の食事&排泄事情
その他、入院中の生活で特に記憶に残っていることや伝えたいことを。
胆嚢炎による入院中の食事
最初の数日間は絶食
胆嚢は消化器の一つです。となると当然食事に反応します。
できるだけ胆嚢を反応させないようにするために、始めは食事を完全にストップ。その間は全て点滴から栄養を摂取します。
自分の場合、最初の3日間は何も食べませんでした。
やがて無脂肪食へ
症状が落ち着いたからか、4日目からは医師が食事を指示しました。
さっそく自分のベッドには食事が運ばれてくるようになったのですが、その内容というのが
無脂肪食。
美味しくないです。しかも300カロリーです。
胆嚢は食物中の脂肪に反応する臓器なので、脂肪を徹底的に抜いた食事をするわけです。
それでも絶食を続けていた自分にはありがたい食事でした。
一口一口、味わって食べました。
入院中の排泄
最初は尿瓶
完全に身動きが取れなかった序盤は、看護師さんを呼んで尿瓶でおしっこをしていました。
恥ずかしかったのですが、何せ痛みが怖いのでおとなしく従っていました。
車椅子を押してもらいトイレへ
やがて少しずつ体を動かすようになると、看護師さんに車椅子に乗せてもらい、なんとかトイレに行けるようになりました。
「ここまでは体を動かしても大丈夫」
という経験則が積み重なってきたことと、熱が下がって元気が戻ってきたことが動けるようになった理由です。
ですが、まだ車椅子を自分で動かすのは怖い。腕に力を入れたくないんです。力入れたら痛むんじゃないかって不安があるので。
後半は歩いて1人で
入院後半は、1人で歩けるようになりました。
右手で排液の瓶を紐から下げて持ち、左手で点滴の台座を押す。旗を担いで犬を連れた西郷隆盛のような気分で病院内をうろつきました。
1人でトイレに行けるって幸せです。
入院中の歯みがき
小さな桶に吐く
洗面台まで行くことができなかった序盤は、ベッドのテーブルの上に看護師さんが置いてくれる小さな鉄製の桶に歯磨きした後の口内の水を吐いていました。
歩けるようになれば1人で
これも歩けるようになってからは生活が激変。
洗顔や歯磨きが自分でできるようになると、入院生活もグッと楽になりますよ。
入院中の暇つぶし
暇つぶしでスマホを酷使。データプランを大容量にした方がいい
やはりスマホ最強です。この頃はまだブログに目覚めていませんでしたが、それでもスマホ一台あればいろいろなことができます。
しかし、自分の場合、ケチってデータプランを安いものにしていたことから悲劇が訪れました。
SoftBankの5ギガのプランだったのですが、入院中のスマホ酷使によってその程度のパケットは早々と消滅。その後は1ギガ1000円の追加をしながら生き長らえていました。
データプランを変更しようと思っても、実際にそれが適用されるのは翌月から。即座に使いたいと思っても無理なんですよね。
普段から大容量にしときゃよかったです。もしくはモバイルルーターを使うか。
入院生活はできるだけ個室がいい
途中から個室に変えました。やっぱ1人がいいですよ。
1日あたり何千円かずつ高くなっちゃいますが。
入院生活12日目で退院
症状が落ち着き、担当の内科医から退院を言い渡されました。
胆嚢摘出手術を担当する外科医との出会い
4Fの病棟から自分の足で1Fの外来棟まで歩き、外科の先生と初めて会って話をしました。
寄り添うような話し方をする内科医と違い、理系の人が書いたブログのようなスパッとした説明をする人でした。説得力がありとてもわかりやすい話し方でした。
外科医ってそういうものなんでしょうかね。
胆嚢摘出手術の内容
入院治療によって腫れが落ち着いた胆嚢を摘出する手術です。
- 胆嚢炎を起こした時点でその胆嚢は機能を失っている
- 胆嚢は無くても日常生活で困らない
という理由から、胆嚢炎は手術による胆嚢摘出が一般的な治療です。
そして、今回は胆嚢の状態が落ち着いたため、腹腔鏡手術をするということでした。
ただし、手術を始めてみて何か不都合が発生したら開腹手術に切り替えるとのこと。
手術日までは自宅待機
外科医達のスケジュールを見て、手術日が決定しました。
手術が近くなるまでは一度退院し自宅待機。そして手術予定日の前日に再入院することになります。
自分の場合、1週間の自宅待機でした。
自宅待機中の食事について栄養指導を受ける
自宅待機中は、自分で食事内容を決める必要があります。
無脂肪食を食べなければいけない関係で、何をどこまで食べることが許されるのか、病院専属の栄養士さんから30分程度の栄養指導を受けました。嫁も一緒です。
発作が起きて痛むのはいやですから、真剣に聞きました。
完全に無脂肪というわけではなく、1日1日と、少しずつ低脂肪のものも食べ始めていいよ、というユルい内容でした。よかった。
無事退院。12日ぶりの外の空気
病院の正面玄関をくぐり、嫁の運転する車で家に帰りました。
次に病院に行くのは1週間後。手術入院です。
まな板に乗せられたコイのような気分で、久々の我が家の空気を1週間楽しみました。