元気に歌いましょう!
大きく口を開けましょう!
こういった指導に疑問を感じた人向けに、一風変わった指導法を紹介します。今度試してみてください。
歌の指導は小さい声から
きれいに歌わせる指導法は次の通り。
- できるだけ小さい声で歌いましょう
- さっきより少し大きく歌いましょう
- 音量はそのままで口を大きく動かしましょう
- 盛り上がる部分を作りましょう
- 完成!
特徴的なのは①。普通は「大きな声で!」って注文出しますからね。それぞれもう少し詳しく語ってみます。
①できるだけ小さい声で歌う
何度か曲を聴かせたら、できるだけ小さな声で歌わせます。この時聴こえてくる歌声、もの凄く綺麗ですよ。音量は小さいですが、囁くように気をつけたこの歌い方は合唱風の整った歌声になります。
実態に応じて「ボリューム0から10までの1で!」とか言うといいです。伝われば何でもいいです。
②少し声量を大きくして歌う
すっごい美しいね!でもお客さんに聴こえないかもしれないね。
今の声のままでボリューム3ぐらいにしてみようか!
こんな感じで次の注文を出します。この辺からちょっと実験的な雰囲気になって子供達も乗ってきます。
更に実験として「次はボリューム5ぐらいいけるかな?声がきれいじゃなくなりそうなら上げなくていいからね!」なんて言ってみます。
子供達の個性や曲の難度によって、どの声量から地声が出てくるかは違います。声量をどこまで上げさせるかは、指導者の耳で判断してください。
③口を大きく動かそう
声の大きさはそのままで、口を動かす指導をします。
ここでキモとなるのは「声の大きさはそのまま」という部分。周りと同調してきれいを目指すと言う意識は持ち続けさせます。
アイウエオの口にそれぞれ指3本を入れる指導でいいでしょう。
ア:指3本縦にして口に入れる
イ:指3本横にして歯をさわる
ウ:指3本だんごにして唇にチュッ
エ:指3本横にして口に入れる
オ:指3本だんごにして口に入れる
低学年の子供たちはこの手の指導が好物です。
④歌の中の盛り上がる部分を作る
歌詞、メロディ、伴奏などから盛り上がる部分を子供達に指定させます。曲想の読み取りというやつですね。
子供達の間で盛り上げる部分の共通理解が図れたら、「盛り上がる部分はボリュームを0.5上げようね」と話して完了。
⑤完成!
「完成!」という言葉を使います。
子供達がみんなの声を合わせて一つの作品を作ろうとしていた、そんな雰囲気を持たせたいので。
きれいに歌わせる指導の留意点
いくつか留意点があるので付け加えておきます。
可能であれば歌を録音して聴かせてあげる
子供達が歌を歌ったら、その都度それを録音して聴かせてあげてください。
「自分たちはこんなにきれいな歌を作っているんだ」「工夫をしたらこんな変化があった」
そういった感情を引き起こしたいものです。歌わされているのではなく、自分たちで作品作りをしているのです。
個別対応はボリュームの指導で
ボリューム5で!と指示したときに、やたら地声が出てしまっている子がいたら声をかけます。
「そろそろキツくなった?」
地声が出ている子はそう聴かれると大体「はい」と言います。
そうしたら、
「じゃあ〇〇くんはさっきのボリューム3の声でいいよ」
と指示してあげてください。普段から個性の指導がなされていれば、こういった指示は配慮として子供達も柔軟に受け入れてくれます。
ちゃんときれいな声で一人分の力になっているよというメッセージを発してあげてください。子供は結果よりも努力の過程よりも、存在を認められることが一番嬉しいんです。
元気に歌わせたい時はどうする?
元気な曲想の歌を指導するのは簡単です。
「ボリューム7で歌おう!」
一発目からこの指示を出せば、それでOK。
普段、ボリューム1だの3だの言われている子供たちは、7と言われれば程よく元気な声で歌を楽しんでくれます。
これが面白いもので、「静かなきれいな声」を体験していない子供達の場合、「元気で」と言うと全力の10の声を出しちゃうんですね。怒鳴り声です。
ですが静かな曲を歌える子たちは7の程よく元気な声を出せるようになるんです。
そういう意味では、歌の基本は静かな曲想の歌を経験させることにあるとも言えます。
低学年の音楽は指導法を知ると楽しいですよ
分単位で動く国語や算数に対し、音楽の授業は秒単位で進みます。いろいろな工夫を詰め込んだ指導を数分間のパーツとして45分の中に並べる。それぞれのパーツの中では秒単位で楽しい活動が進められていく。
音楽の授業って授業者が学べば学ぶほどに劇的に変わりますし、子供の反応も目に見えて良くなります。
その辺の本を何冊か買って勉強してみると、授業する側もだんだん面白くなってきますよ。
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