「ADHD傾向が強い=部屋の片付けが苦手」
ADHDという言葉を知る人であれば誰でも納得するであろう、ADHDの典型的な困り感です。
この片付けられなさは尋常じゃないです。ちょっと油断すると途端に部屋の床が見えない、「足の踏み場もない状態」になります。
この記事を書いている自分もまたADHD傾向の強い人間。かつてはモノとゴミにまみれた汚部屋で生活をしていました。
そんな自分が30代にして出会った考え方が「ミニマリスト」。ADHD診断を受けていながらも部屋をきれいに保つことができるようになりました。
このページではそんな自分とミニマリストの関係について、
- ミニマリストに出会う前
- 出会ったきっかけ
- 出会った後の行動
という3つ場面に分けて書き出しています。
「何かを変えたいな」と思う方に向けて書きました。
少し長い文章ですがお付き合いください。
ミニマリストを知る前のADHD人生
まずは小学生から社会人に至るまでの汚部屋の変遷を書き出します。
筋金入りの汚部屋民です。何せ成人後、ADHDと診断される大きな要因となったのが幼少期からの汚部屋癖ですので。
小学生~高校卒業まで
小学生時代は弟と同じ部屋を使っていました。いつも散らかり放題。
弟は片付けに対する意識のある人間だったので、散らかりが度を超えると弟主導で二人で片づけをするという感じでした。
中学生になると自分専用の部屋をもらいました。それはハウスキーパーだった弟の存在がなくなることを意味します。
さっそく本格的に汚部屋化が始まりました。物は部屋中に散乱し、学校のプリントや文房具も次々と失くしました。
高校生になっても汚部屋癖は変わらず。
趣味が増え始めたことと小遣いが増えたことで、部屋のモノは余計に増えていきました。
大学生時代。ADHDの自覚はまだない
大学生になり実家から遠く離れた場所で一人暮らしをスタート。いよいよ足の踏み場も無くなり、酷い時には小バエが部屋に大量発生する始末でした(これはさすがに懲りましたが)。
遅刻や課題未提出の常習犯でもあり、いわゆる落ちこぼれ学生でした。
この頃はまだ自分がADHD傾向の強い人間だとは自覚していませんでした。それ以前にADHDという言葉すら知りません。
「自分はだめな人間だなぁ」
「ほんと仕方ないやつだなぁ」
「まあいいか。」
と、ただただ自問自答する毎日でした。今考えるとこの自己肯定感の低さと楽観主義はADHDの特徴的な思考ですね。
ヌルい学部を選んだことと友人や恋人の助けも多々あってどうにか大学を卒業しました。
4年間暮らした部屋を引き払う時は実家から応援が来るほどの大騒ぎだったことは言うまでもありません。
社会人時代。汚部屋に悩み続ける日々
社会人になり綺麗な部屋に引っ越してきても、1週間で汚部屋化。
人が遊びに来るということで何時間もかけて必死に片付けなんとか来客を乗り切るも、その後はまた汚部屋化。
そんな大掃除&汚部屋化を繰り返していると、もっと居心地の良い広い家が欲しくなり引っ越し。
引っ越し先で今度こそ綺麗な部屋を維持しようと決意するも、1週間で汚部屋化。
自分が心底情けなくなりました。
また来客のために自分で自分の頭を殴りながら掃除をして、本当に今度こそ心を入れ替えて綺麗な部屋を維持しようと心に誓いましたが、
またしても1週間で汚部屋化。
自分の頭を殴ろうが心に誓おうが何も変わりません。決意だとか努力だとか、そういう次元の話じゃないんですね。
激しく落ち込みました。自分はなんて情けない存在なんだろうかと。
ADHDの自分がミニマリストを知ったきっかけ
また仕事の都合で引っ越しをしました。
「どうせまた俺は部屋を汚くする。それはもう持って生まれた欠陥なんだろうな。」
そんな心境で新しい街を歩いていると、本屋で一冊の本と出会いました。
佐々木典士さん著『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』というシンプルな見た目の本です。
それまでにも片付けに関する本は何冊も買っていました。そりゃ本気で悩んでいましたから。結局読んだだけでどれも長続きはしませんでしたが。
すがるように買ったこの本には、「ミニマリスト」という初めて出会う語句が何度も載っていました。
- 最小限のモノだけを持つライフスタイル
- 所有とは本当に幸せなことなのか
- モノを減らすことで心に余裕が生まれる
- 本当に必要なものと共に生活していく
本の内容はどれも納得できるものでした。
その中でも特に、
「人には自分に管理できる物の量というものがあり、それをオーバーすることで心にも部屋にも余裕がなくなる」
という考え方が自分の中にストンと落ちました。
これを受けて、
「自分は管理できる物の量が他人と比べて極端に少ない人間である」
と考えてみることにしました。
ADHDがミニマリストを実践!苦手な片付けができた
さっそく行動を起こしました。
ADHDは自分の困りを変えてくれそうな希望を見つけると食いつきだけは早いのです。だって、本気で困っているんですから。
人生に対する絶望感を常に抱え、そこから這い上がる蜘蛛の糸を常に必死に探しているのですから。
本当に必要な物を見つけ出す
まだ引っ越ししたばかりの部屋の中から、本当に必要な物だけを見つけ出します。こんな自分にも管理できる量になるまでモノを減らします。
具体的には、
- 毎日使うもの=残す
- 毎週など決まったサイクルで使うもの=残す
- 1年以内に確実に使うもの=しまう
- 1年使わなかったもの=捨てる
- 2つ以上持っているもの=捨てる
- 実は無くても工夫でどうとでもなるもの=捨てる
といった感じです。
色々なモノを捨てました。もったいないとは思いましたが、自分に合った環境を作るために捨てました。持ち物の8割は捨てたと思います。
結果、毎日使うような本当に必要な物だけが残りました。
ミニマリスト実践後の部屋の変化
それから1週間、1ヶ月、3ヶ月。
部屋は綺麗なままでした。
普通の人から見ればその部屋も散らかっている部類に入るのかもしれませんが、ADHDの自分にとっては信じられないくらい快適で綺麗な部屋でした。
物を失くすこともなく、この頃は生活そのものが好転していました。物を管理することに使っていた膨大な精神エネルギーが解放されたことで、自分自身のパフォーマンスが劇的に向上したのです。
ミニマリストの考え方は、自分の人生そのものを楽にさせてくれました。
ミニマリストの考えはADHDを救う
自分はたまたま本屋でミニマリストの思想に出会うことができました。
ですが、世の中にはまだ多くのADHDの方が自尊心を失いながらゴミに埋もれた部屋で生活しています。
シンプルに生きようとするミニマリストの思想は、ADHDの生きにくさそのものを改善してくれます。部屋の片付けだけでなく、世間の常識になんとか合わせようと神経をすり減らしている自分たちの生活を楽にしてくれます。
自分が人並みな部屋を手に入れ少しばかりの自尊心を取り戻したように、1人でも多くの方がミニマリストの思想と出会えることを願います。