特別支援学級担任の悩みに応えられるかもしれない本

特別支援学級担任に指名され新年度困り果てている。

そんな人に向けて伝えられることを伝えようと思います。とは言っても自分は大した人間ではありませんので、本を一冊紹介するだけですが。

特支担任としての自分を形作ってくれた本であり、通常の学級担任としての自分にも強く影響、保護者の方にも何度も紹介した本です。

教師と親のための子どもの問題行動を解決する3ステップ

本の概要

問題行動の解決とありますが、実際読んでみると「子どもの内面とひたすら向き合う考え方と実践方法」という感じの内容です。

ベースは応用行動分析。著者は外国人の方。

「教師と親のための」という文言通り、教員が読んでも影響受けられますし、保護者の方にもおすすめできるような書かれ方になっています。

 

目次

  • 第1章 荒れた教室
  • 第2章 子どもたちはやり方さえわかればよい行動がとれる
  • 第3章 レッスンプラン
  • 第4章 プランBを始めよう──子どもに向き合う3ステップ
  • 第5章 支援は山あり谷あり
  • 第6章 不足スキルを補う
  • 第7章 クラスメートの子どもたちへの対応
  • 第8章 学校を変えよう
  • 第9章 分かれ道に立つ子どもたちのために

 

特別支援学級担任のつらさ、悩みの突破口となる学び

問題行動=メッセージ

子供がとる問題行動はメッセージであるという考え方を学びました。問題行動を起こしている子は、気持ちを言葉に表すことができない故に問題行動で表していると考えます。

だまる、逃げる、笑う、無く、挑発する、叫ぶ、転がる、寝る、

全てはメッセージであると考え、その行動の奥にある気持ちを察しようとする姿勢をもつ

コミュニケーションに困りを抱えている特別支援学級在籍の子に対して、ぜひ身につけておきたい考え方です。

 

結論は子供が出す

個人的に一番キモだと思った部分。

この本では、「子供が自分の意志で行動を変えていく」ということが一つの目標となっています。

そのためには、相談こそ子供と教員の二人で進めるものの、最後の決断は子供の口から出たものである必要があります。

相談にのったとしても、最後の結論を教員が出してしまっては、それは指示であり受動的な意味合いしかもちません。

「ぼくはこうしてみる」と子供自らが発した言葉だからこそ、その後の生活の根拠となる。本の中で一貫して書かれている主張です。

教育相談をする際、結論は子供の口から出るのを待つそれに向けた支援をする。この考え方を本から学びました。

 

約束を共有する理解者として

相談の結果子供の口から出た結論。それはそのまま子供と教員の間で交わされた秘密の約束となります。

その後の生活でその子が何か困ったとき、「あの結論」に従ってその子と教員が動く。

約束の共有がその教員をその子にとっての理解者にしてくれます。

 

特別支援学級担任用、保護者用のどちらにも向く

この本は理論とストーリーがセットになっています。ストーリーが少し進むとそれに合わせて理論の解説が入り、またストーリーへ、という流れです。

登場人物はアメリカの学校で不適応を起こしている男の子と途方に暮れる担任、男の子を理解しようとしない管理主義の校長、男の子と担任両者にとっての救世主となる専門家など。

アメリカと日本の文化の違いこそあるものの、読み物としてぐいぐい引き込まれる内容です。このストーリーパートがあるからこそ、自分はこの本を安心して保護者の方へ渡すことができました。

 

優しい特別支援学級担任になりたい人へ

誰だって優しい先生になりたい。

怒りたくて怒っているわけじゃない。

子供と心から信頼関係を築きたい。

 

時間に余裕があるときでいいので、一度じっくりとこの本を読んでみてください。

自分は教員をパワハラ退職するときにほとんどの本を捨ててしまいましたが、この本は捨てることができませんでした。

この記事だけでは本の価値を半分も伝えられていないと思います。

自分の教員としての価値観の根っこになっている一冊です。

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