小学校教員時代に国語の授業を設計、実践する際に気をつけていたことを紹介します。
自分は有名人でもなんでもない普通の無名教員だったので、そのレベルの話になります。
あまり期待せず参考程度にお付き合いください。
授業の大前提「活動時間を保証する」
具体的な話に入る前に、学校の授業そのものについてちょっとだけ触れておきます。
授業は活動と説明把握で成り立っている(と思う)
- 教師の説明を聞いてやることを把握する
- 実際に活動する
どんなタイプの授業でも大体この流れの繰り返しで授業は成り立っています。
そして教師の最大の役割とは、
その日の活動内容を事前に設計し、それを確実に子ども達に伝える
であると自分は捉えています。
- 今日は何をするか
- それをどうやって子ども達に伝えるか
この二つについて、0.5秒で答えらえる状態で授業を始めることができれば、とりあえずその一時間は破綻せず実りのある時間になるでしょう。
このページでは特に「今日は何をするか」の部分について考えをお話しします。
もちろん伝える技術も大事。
それはまた別の機会にお話しさせてください。
[chat face=”man1″ name=”センパイ” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]おいタビ!教員の専門性ってのはな!「伝える技術」のことなんだよ!わかったかバカ野郎![/chat]
伝える技術の大切さについてはかつて偉大なる大先輩が優しく教えてくれました。
とても大切な技術です。
国語の活動とは「読む」「書く」「聞く」「話す」
自分が国語の授業をする際に気を付けていたことは、一単位時間の中に
「読む」「書く」「聞く」「話す」
という4つの活動要素をできるだけ多く入れることでした。
国語の教科書にはその時間のめあてがあります。
この単元は「書く」
この単元は「読む」
みたいに重点が決まっているんですね。
とは言ってもその一時間や一単元の間ずっと書いてばっかりいるわけじゃないです。
45分の中に「読む」「書く」「聞く」「話す」の活動を意識していれる
これが自分が国語の授業で心掛けていたことです。
具体的に何を目指せばいいの?
説明した4つの活動要素について、もう少し具体化します。
4月5月の頃は、
「これができるようになってほしいんだ」
と子ども達にこれらの要素をちょくちょく説明していました。
読む=音読+読解
音読の重視
45分の中に音読の機会を必ず用意します。
できるだけ全員、多くの子が音読できるような形で。
音読を重視する理由は
- 文章の内容を把握する方法として音読が効果大だから
- 活動量の保証のため
の2つ。
国語においても他教科においても、音読の効果は高いです。
例えば算数の時間に問題文を一度音読させる習慣をつけると色々捗りますよ。
音読についてはこの本から多くを学ばせてもらいました。
読解
その単元で定められている指導事項はもちろん習得させます。
それに加え、一年間ずっと次の言葉を言い続けます。
「それはどこに書いてありましたか?」
読解の授業では、物語の登場人物の心情であろうと、説明文の要旨であろうと、必ず教科書の文章を根拠に発言をさせます。
「何ページの何行目にある~~という文から考えました」
というように、とにかく本文を強く意識させます。
本文を意識することによって、
- 活動中に何をすればいいのかはっきりする
- 文を丁寧に黙読する習慣がつく
という効果が得られます。
聞く=傾聴スキル+メモ力
自分は聞く力を「傾聴スキル」と「メモ力」の二つに分解して捉えていました。
傾聴スキル
他人の話を聞こうとする力です。これは自分が勝手にそう呼んでいるだけの言葉なのでググってもあまり出ないかと思います。正しくは何て言うんでしょうかね。
一年生から鍛えます。
国語の毎時間45分の中で鍛えることで、他の授業の進行も良い感じになります。
- 話者の目を見る
- 話者の方に体を向ける(おへそを向ける)
- 引用させる
- ※うなずく・あいづち
目と体を向けることは傾聴スキルの第一歩。
4月当初から指導し続けていれば一年生でもできます。
そして少し難しいですが他者の話した内容の「引用」も奨励します。
「〇〇くんはこう言ってましたが~~」
なんて言える子が増えていくことを目指していきます。
※うなずく・あいづちは近所の教育大付属小学校の研究で行われていたものです。
なんかわざとらしい感じがして自分が実践に取り入れませんでしたが、傾聴する意識は強まると思うので気になる方はやってみては。
メモ力
3年生の指導事項です。
聞いたまま全文を書き起こそうとする子ども達に対し、箇条書きの指導を行います。
4年生でも5年生でも全文書き族がかなりいるので、初めて教えるようなイメージで4月から繰り返し指導します。
委員会や学級活動等でのスピーチの場などは絶好の指導機会です。
書く=達意の文と相手意識
読むと聞くがインプットならば、こちら「書く話す」はアウトプット。
最近の教科書ではこれらアウトプットの技術が重視されているようで、そういう単元が多いですね。
ノートに書かせたり作文用紙に書かせたり、45分の中に何かしら「自分の意思で自分の言葉を書く」時間を設けます。
書く活動では、特に「書く目的」にしつこくこだわりました。
- 何のために書くのか。
- 誰のために書くのか。
それは他者に読ませる文なのか、自分用のメモなのか。それだけでも書き方は相当違います。
他者に読ませる文であれば当然字形も指導します。
逆に自分用のメモであれば「自分が読めれば良いよ」と指導します。
そして達意の文。
結局読んだ人に言いたいことが言えているのか。伝わっているのか。
「伝わるかどうか」というものさしで個別の添削を行います。
添削では主語述語、段落、誤字脱字などの話もします。が、その際は「読む人に言いたいことが伝わるようにするため」という目的を達成するための話であることを子供と共有していました。
話す=ブレインストーミングとスピーチ
複数名の協力で考えを昇華させるためのブレインストーミング、
大勢の前で話すスピーチ、
この二つのスキルを育てようと授業の中に多く活動を取り入れていました。
これらを育てようと思ったのは、学級活動や委員会活動で子ども達が困らなくなると考えたためです。
ブレインストーミング
アイデアを出すための手法であること。
- 否定しない
- 時間制限
といった基本的なルールがあること。
これらを伝えたうえで繰り返し活動させます。
KJ法など高度な方法も色々ありますが、とりあえずは上のルールでひたすらしゃべらせるだけでも気が付けば実りのある話し合いになっています。
繰り返すことで、子ども達はこの方法のうまみに気付きます。
スピーチ
嫌な子はとことん嫌です。
下手すればトラウマ、場面緘黙にもつながります。
なので、1年生であっても6年生であっても、4月は班の中という規模で20秒もあれば終わるようなテーマのスピーチをさせます。
少しずつステップアップさせて学級全体相手のスピーチにもっていく狙いですが、そこは子ども達の様子を見ながら慎重に進めていました。
大勢の前でのスピーチ、嫌な子は本当に嫌なので。
もっと具体的に!結局明日何すればいいの?
教員の仕事術は「自分ひとり」で何度もPDCA回して身に付けるもの。
その最初の一歩のPになれそうなものだけ書いておきます。
音読のパターンをいくつか知ってみては?
- 全員で読む
- 一文ずつ順番に読む
- 一文終わるたびに教師が次の子を当てる
- 好きな文を3つ決めておいて読む
- ラーメンとカレーならカレーが好きな人!とか言って当たった子達が読む
基本的なものからネタ的なものまで色々な読ませ方があります。
自分は最後のラーメン~のやつが好きで、色々アレンジしては面白おかしく音読させていました。
というわけで、音読のパターンを色々勉強して明日さっそくやってみるというのはどうでしょう?
傾聴の姿勢を子供達に求めてみよう
傾聴の雰囲気を作っていこうと子ども達に求めてみてはどうでしょう。
- 目を見る
- 体を向ける
ここから始めてみると良いと思います。
傾聴の姿勢を守る雰囲気が学級全体にあると、手遊びやよそ見もだいぶ減りますよ。
それでも手遊びよそ見してるツワモノは許してあげて下さい。それ突っつくと逆効果になる場合が多いので。
色んな子がいていいんじゃないかと甘い自分は思っちゃいます。
まとめ
P:教育書を読む
D:授業をする
C:子どもの表情、何やるかわかっていない子の存在の確認
A:密かに録音した授業音声を聞いて自己嫌悪
これの繰り返しで12年間学んできたことを1ページにささっと吐き出してみました。
繰り返しますが、自分は大した教員ではないのでこの内容をあまり鵜呑みにはしないでください。
こんな話じゃなくもっとまじめに授業を学びたい人はとにかく本を読んでみるといいと思います。

↑自分がかつて読んで助けられた本を思い出しながら紹介しています。
まだ工事中であまり紹介しきれていませんが…
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