小学校で子供が何度もパニックを起こす場合、どうやってその子の気持ちに寄り添えば良いのか?何を分析していけば良いのか?
小学校関係者、パニックを起こしやすいお子さんを育てている保護者の方に読まれることを考えて書きました。
自分が小学校教員業界で教わり、実際にやってみて児童理解に助かっている方法です。
パニックの始まりと終わりを記録する
- 子供がパニックを起こした時の状況
- 子供のパニックが収まった時の状況
この2つを記録します。
場所、近くにいた人、本人や周りがとっていた行動、時間…
記録できそうなものをとにかく書き残してみてください。
書くタイミングはその日の放課後がいいです。落ち着いて書けるしまだ記憶にも新しいと思うので。
パニックは何を原因に始まった?
パニックは必ず何かの原因があって始まります。パニックとは何かの刺激から心を守る回避行動ですので。
- その場所が苦手だった
- その場所の光が嫌だった
- その場所で嫌な臭いがした
- 子供同士の会話で強い我慢があった
- 何か失敗をした
- 言われたくないことを言われた
- 嘘がバレそうになった
これは一例。パニックの原因は起きた時の状況の中に必ず埋まっています。
記録を書き溜めていくことでその原因を探るんです。
パニックが収まった後の子供に「何が嫌だったの?」と聞きとることも重要。その言葉と当時の環境、2つの情報をかけ合わせて原因を探ります。
ただ、「何が嫌だった?」という質問はとてもオープンで答える難易度が高いんですよね。
それについても発生時の環境を整理しておくと役に立ちます。場所や会話など、それっぽいなと思った原因予想から3択を作って子供に質問できるからです。
パニックが収まったきっかけは何だった?
パニックはいつかどこかで収まります。一年中パニックを起こし続けるってのは現実的ではありません。
ではそのパニックは「いつ」「どこで」「なぜ」収まっているのか。
いつの間にか収まってたではなく、具体的に突き止めて記録しましょう。
それを知ることは子供の心と体の安全を守ることにつながります。
パニックを起こした子が集団から逃げ出した時は、どんな場所に逃げ込んだのか。
声をかけられてパニックが収まったのなら、それはどんな声だったのか。
小学校の担任はパニックを起こした子へ対応したい一方で他の大勢の子にも対応しなければなりません。
となると、補助の先生であったり管理職であったり、他の先生にパニックで逃げ出した子の捜索と対応をお願いすることになります。
その際、その子が逃げ込みやすい場所や望ましい声の掛け方を知らせておくことで、無用なトラブルなくその子の安全管理と心のフォローをすることができます。
もちろん、担任自身でパニックの子のフォローができる状況であれば、自分でやるのが一番なのですが。
パニックの収まり方を記録し続けることで、収まり方の傾向を知ることもできます。
知った傾向をもとに、子供が自分でパニックを止める方法を教えていくことができる、その可能性も期待できます。
記録は保護者と共有する
- パニックが起きたときの状況
- パニックが収まったときの状況
この2つの記録はぜひ保護者と共有してほしいです。
パニックが起きたときの状況はよく電話連絡されますが、収まった時の状況も合わせて連絡するようにするといいですよ。
個人懇談や家庭訪問など保護者の方と一対一でじっくり話す機会では、書き溜めた記録をもとに2人でパニックについて考察もしてみてください。
パニックの発生と収束についての情報を保護者に渡すことで、保護者は子供が病院にかかっていれば主治医の先生に話す材料にもできます。保護者自身が子供に接するときの参考にもなります。
小学校教員をやっているとついつい自分と子供の関係性を意識してしまいますが、この世で最もその子との関係性を大切にしたいと願っているのはその子の保護者です。
教員はあくまで脇役です。主役は子供と保護者。
児童理解は地道な観察と記録の積み重ねから
子供に何か診断がついている場合でも、最終的な児童理解は目で見た事実から行なっていくべきだと自分は思います。
その子は何が好きか。何が嫌いか。何を楽しめるのか。何を我慢しているのか。
書き溜めた大量の事実をもとに、仮定と考察を交えながら子供の心に近づいていく。必要な支援を見出していく。
放課後の時間にゆとりがなければこのような作業もままならなくなってしまいますが、最低限の仕事としてどうにか続けていきたい作業です。
子供が取り乱したときは、それが起きた原因とそのパニックが収まったきっかけを記録しとく。
放課後にお家の人に電話してそれ伝えると生きた情報として結構喜んでもらえるよ。その記録を溜めていけば、パニックの傾向も探っていけるし。
環境調整の方針や教えるソーシャルスキルを決めるのにも使える— タビセン@田舎の臨時教員 (@Tabisen_writer) September 26, 2019
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