ADHD傾向のある児童が片付けをせず遊びやおしゃべりに没頭してしまうという姿。
家庭でも学校でもよく見る光景です。
「片付けができない」ということは児童自身の失くし物につながるほか、家の快適さや教室の清潔感、学級集団の意識にも関わってくる問題です。
指導が必要な場面と言えます。
ここではADHDの特性を考慮した望ましい片付け指導について説明していきます。
片付けを教える。一人でできたら褒める
- 教師が手順を話しながら児童の持ち物を片付ける
- きれいな状態が完成したらそれが正解であることを伝える
- 片付けた物を元の状態に戻し今度は児童にやらせる
- できたらほめる。その後別の機会に一人でやれていたらまたほめる
以上の手順で指導を進めていきます。
片付けができた、もしくはやろうとした際にその姿をすかさずほめてあげる。
そうすることで片付けという行動が強化され、やがて1人で望ましい片付けができるようになります。
ADHDの児童には未経験の活動への配慮を
ADHDやASDなど、発達障害の傾向をもつ児童は得てして未経験の活動を嫌がり避けます。
一方で、一度覚えた習慣や技能は何の抵抗感もなく、むしろ積極的にこなすようになります。
発達障害を抱えた児童に対しては、「やったことがある」という感覚を一つでも多く持たせてあげてください。
とにかく生活や学習における「未経験」を丁寧な指導で一つ一つ無くしていきましょう。
ADHDの児童にやってはいけない指導「叱る」「問いただす」
[chat face=”man1″ name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]ちゃんと片付けなさい![/chat]
[chat face=”man1″ name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]どうして片付けてから遊びに行かなかったの?[/chat]
[chat face=”man1″ name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]片付けをしないと物を失くしてしまうよ?[/chat]
どれもアウトです。
3つ目は一見良い指導に思えますが、やはりアウトです。
まず、「ちゃんと」という言葉は非常に曖昧で伝わりません。
指導の場面で使うには論外とも言える言葉です。
また、児童が無意識的に避けていることを叱ったり問いただしたりしてしまっては「よくわからないけど怒られた」と、怒られた叱られたという事実だけが残ってしまいます。
3つ目に関しては、必要性を言葉だけで説得されても「わかってるけどできない」状態が続くことになってしまいます。
これらの指導を行った結果、発達障害を抱える児童への指導で最も重要視しなければならない自己肯定感を傷つけてしまうことにもなります。
望ましくない行動を目にしたら、叱るのではなく教えることを考えましょう。
まとめ「ADHDの児童への片付け指導は教えてほめる」
- 片付けとは何なのか、どのようにすればいいのかを「教える」
- 一人でできたという経験を徹底的に詰ませ「ほめる」
子どもに何かとらせたい行動があるのであれば、まずは教えましょう。
そしてそれを一人で出来るようになったらすかさずほめましょう。
もちろん、一度教えたからいきなり完璧にできる子はそうそういません。
教えたことをちょっとでもやろうとしたら、それをほめればいいのです。
片付けであれば、鉛筆一本を片付けただけでもほめてあげればいいのです。
鉛筆一本に手を伸ばしただけでほめてもいいぐらいです。
周囲の大人の手でADHDの子達の「やったことがある」を1つでも増やし、他の子達よりも傷つきやすい自尊心を丁寧に守ってあげてください。