「子どもは褒めて育てる」
学校関係者の人も、子育て中の人も、どこかで一度は聞いたことがあると思います。一度どころか毎日聞くレベルです。
賛否両論あるとは思いますが、もう20代30代の方で褒めて育てる教育を知らない人はいないでしょう。
ちなみに自分は褒めて育てる賛成派です。人生において重要なのは自尊心であり、それは成功体験によって生まれると思っているので。
さて、褒めて育てるとは言っても、何でもかんでも褒めればいいというものでもありません。
褒め方を間違えると、望ましくない類の自尊心が身についてしまいます。
褒めるタイミングの悪い例
間違った褒め方とは「他者と比較して褒めること」。
- あの子より足が速かったね
- あの子より早く食べ終わったね
これ、まずいんです。達成感や成長を実感せずにただただ優越感だけが育ってしまいます。
そして待ち受けているのは挫折。それこそ達成感が伴っていないことから、ちょっと失敗した時に脆いんです。
達成感の蓄積が無いから自分を信じられないんですね。
子どもを褒める良いタイミングは?
褒めるべきタイミングは子どもに成功や変化があった時です。
- 今日はきゅうり食べれたね
- 昨日より早く片付けが終わったね
比べるべきはその子自身。
褒めるとは、その子の過去と現在の比較を大人が代理してあげることです。
よくポートフォリオ評価がうんたらかんたらって言いますが、それです。過去の自分と今の自分を比べることで、成長を実感することができるわけですね。
発達障害と褒める指導
自閉傾向の子は声での説明が通りにくかった
以前、自閉傾向の強い子に褒める指導をする際にひと工夫加えた話をしますね。
褒めるとは過去の自分と比較し成長を実感すること!
とは言いますが、その子は声で褒めてもそれが伝わらなかったんですよ。
キョトン?です。
成長を感じられる姿をビデオに撮って見せてみた
そこでこっそりビデオを撮ったんです。
- 片付けが間に合わなくてチャイムが鳴ってしまった時の映像。
- そして片付けを時間内に終えられて授業開始に間に合った時の映像。
この2つをその子に見せたんです。
するとその子は、
「先生!すごいですねこれ。間に合ってますよ」
と、なんだか他人事みたいに感想を言ってきました。
そこで改めて、
「〇〇くん、片付けが間に合うようになったね。大人になったね」
と話しかけると、その子はようやく「やったー!」と喜びました。
褒める=成長を実感させる
成長、つまり行動の変化を実感させること
その原則さえ踏まえておけば、どう伝えるかは支援者の工夫次第。
教員の専門性とは伝える技術ですから、その子に合わせてあれこれ工夫してみればいいんです。
褒める指導で自己肯定感を伸ばす
褒めることで自分の成長を実感させてあげてください。子どもの育ちは自己肯定感次第です。
発達障害の子が将来時代を切り裂く刃となれるか、それとも失敗を恐れ埋もれていくか。それは自分に自信を持てているか、自己肯定感を守ったまま大人になれたかどうか次第だと思います。
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