逃げログ
元小学校教員12年。今はWebライター。
教育時事・思想

臨時教員が足りないというニュースの感想。本当に考えるべき原因は?

Yahoo!のトップページに広島県内で臨時教員が足りないというニュースが飛び込んできました。

ニュースを要約すると以下の通り。

  • 広島県内の公立小中学校35校で欠員状態
  • 呉市で4月中授業を受けられない中学校もあった
  • 欠員内訳は非常勤講師12人臨時採用教員26人
  • 教育委員会は求人を出して新たな講師を探している
  • 夏休み冬休みに補講を行う可能性もある

 

記事のコメントやTwitter、はてなブックマークのコメントをざっと読みました。

この問題に対する意見感想として、

  • 「教育委員会の失敗」
  • 「採用数を増やせばこんなことにはならない」

というものが多くありました。

 

たしかに教員採用試験は倍率こそ下がってきたものの、今でも不合格になる教員志望者は多くいます。ですが、正採用を増やしたからといって解決する問題ではないはずなんですよね、これ。

今日はちょっとその辺に触れつつ、本当に問題視するべき方向に話を進めていきたいと思います。

正採用と臨時採用は違う。臨時採用が足りないということは

正採用と臨時採用は、採用の目的が根本的に違います。

臨時採用教員というのは基本的に欠員補充なんです。なので、正採用を増やしたところで欠員は埋まらないんですね。

 

正採用教員は練りに練られた人事構想をもとに配置される存在。

正採用として雇うということは、向こう何十年にもわたってその人に対して賃金を払い続け、解雇もできないということです。

そう、民間企業と違ってリストラという概念が無いんです。なので正採用をとることには慎重にならなければならないんです。

その年に退職する教員、向こう何十年間で子どもの数や学校の数がどう変わっていくかの予想、予算の問題。色々な要素を考えながら採用数を慎重に決定するわけです。

 

正採用教員が年度途中で退職するなどの事態になれば予備登録の先生を追加で正規採用することがあります。が、そうでない限り、スポット的に発生した欠員を正採用教員で補填するということはまずありません。

臨時採用教員が足りていないという問題が起きたのであれば、それは委員会の採用計画の問題というよりも、もっと別の原因を見つけ出すべきでしょう。(もちろん採用計画の責任が0というわけでもないと思いますが)

 

スポンサーリンク

臨時採用が不足するのは免許持ちの不足と労働条件の悪化が理由だと思う

今回不足したのは臨時採用教員。

採用試験が定員割れしたのではなく、市井に求人を募っても人が集まらなかったということです。

 

その理由を考えてみましょう。

免許更新制度が免許所持者を減らした

まずは免許を持っている人が減ったのではないかという仮説。

平成21年に免許更新制度が始まり、もうすぐ10年の節目を迎えようとしています。免許更新は10年の周期でまわしていくシステムですので、現時点でほとんどの免許所有者が免許更新を経験したと言えます。

さて、免許更新を経験した人がいるということは、更新をせずに免許を失効させた人もいるということ。免許更新には膨大な時間と資金、そして複雑な手続きが必要です。特に現役教員でない人の更新は多大な負担となります。

よって、現役教員ではないけど免許を持っているけど免許の更新をあえてしなかったという人は相当数存在するでしょう。

 

人生とはわからないもの。教員の世界からは離れていたものの何かのきっかけでまた臨時採用教員として年配の方が教壇に立つということは結構あるものです。

ですが、免許更新制によってそのようなタイプの臨時教員候補はかなりの人数が減ったのではと予想できます。

世論がブラック企業を許さなくなった

もう一つ立てたいのが、労働条件を重視する世論が形成され始めていることから公認ブラック企業である公立学校という職場に人が寄り付かなくなったという仮説。

免許を持っている人であっても、今の時代にあえて臨時教員をやろうと考える人は果たしているのでしょうか。

それこそ自分も免許持ちの元教員。ですが、再び教員の世界に臨時として入って行く気はあるかといえば、なんとも言えません。

以前はそれなりにいた「教員になる予定はないけど教職課程はとっておこう」という学生。それについても、今そう考えて教員免許を欲しがる学生はいるのでしょうか。

 

劣悪な労働環境に気付いた若手が離職する話については別の記事で書いているので今回はここまでで割愛します。

小学校教員の不足が進むと思う理由

今回の広島県の臨時教員不足の問題は、小学校の労働環境の問題と無関係ではないと思っています。

 

スポンサーリンク

結論

この問題は「教育委員会の採用の失敗」として簡単に片づけられる問題ではないと自分は思いました。

本当に注目すべきは、「学校が公的ブラック企業であることの限界」「免許更新制の無意味さ」ではないでしょうか。

いよいよ子ども達に被害が及び始めました。終わりの始まりです。

どうするのでしょうね。「若者の臨時採用離れ」とかなんとか言ってまた若者に責任を押し付けたりするんでしょうか。